若ハゲ30です。
嫌われる勇気を執筆した岸見一郎さん。
この方の最新作「人生は苦である、でも死んではいけない」が発売されました。
嫌われる勇気はアドラー心理学を分かりやすく解説するという内容でした。
しかし、この著作はアドラー心理学を岸見先生なりに一部改定し、進展させた内容となっております。
そういう意味で、この本は新しい哲学書です。
早速、見ていきましょう。
【書評】人生は苦である、でも死んではいけない
人間は存在に価値があるが、生きることは苦である

この本の根本的な思想として「生きているだけで価値がある」という思想があります。
成功や誰かの役に立っているということが価値の条件ではありません。
ただ存在することに価値があると。
しかし、生きることそのものは苦であるということを認めています。
つまり、人間は存在そのものに価値があるが、生きていくこと自体は苦痛であると。
仏教ですと、この苦から逃れる方法として、欲望を滅尽して解脱するという手法を取ります。
では、岸見先生はどのような結論を導くのか。これから紐解いていきます。
生きるという課題

アドラー心理学では人生の課題として3つを挙げています。
仕事、交友、愛の課題です。
この3つのうち、どれか一つでも突出、欠けた場合は人生の調和が取れなくなるというのがアドラー心理学です。
アドラーはこの人生の課題から逃げるなという主張でした。
勇気をもってこの3つの課題に立ち向かう必要があると。
岸見先生は、さらにそもそもの「生きる課題」というものを提唱します。
生きることそのものが苦であるのだから、生きること自体が課題であると。
私なりの解釈ですが、アドラーは生きること自体に対する疑問というのは湧いておらず、生きることは当然だという前提があるように思えます。
その上で幸福に生きるにはどうすればよいかということを考えていて、3つの課題を挙げています。
一方で、岸見先生の視点は生きること自体から疑ってかかります。
そして、生きることは苦であるけど死んではいけないと。
死なないためにどう生きていくかといった論を展開します。
それが生きる課題です。
「生きる課題」というのは生きている限り逃げようがありません。
これはアドラーの3つの課題と性質が違い、立ち向かい征服する課題ではなく、否が応でも全員が受け止めるしかない課題です。
2つの指針

生きる課題への対処法の詳細はぜひ本書を手に取って欲しいと思います。
「今を生きる」といった前作「嫌われる勇気」のお馴染みのセリフが出てきて面白いです。
ここでは本書の結論として挙げられる2つの取り組みを見ていきましょう。
・他者貢献
・成功を目標にしない
「他者貢献」は前作「嫌われる勇気」にもありました。
自分以外の他者に関心を向け、自分が受けてきたものを他者に返そうとする意識です。
この他者貢献は何かになるであったり、何かをするということを必要としない貢献です。
いわば、自分が生きていることそれ自体が他者にとっての喜び、幸福につながるということ。
それを認識することです。
そして、もうひとつが「成功を人生の目標としない」こと。
何も成し遂げなくても、生きているだけで他者貢献ができるからです。
ありのままの自分に価値があるということです。
成功と幸福は別問題と岸見先生は断言しています。
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